最近読んだ本 「わたしと仕事、どっちが大事?」はなぜ間違いか

題名に引かれて買った本。
弁護士が教える、論理的な話し方の技術。平易な文章でわかりやすい。今まで自分が持っていなかった視点など、いろいろ「なるほど」と思うことが書かれている。
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あさ出版

以下、印象に残った例(本文より)。
・会議などの場で、考えがまとまらないうちにある意見を述べる(とする)。一度発言してしまうと、その人はそれ以降、その発言が妥当である理由を説明し続けることになる。仮に途中でその意見が望ましくないと考え直しても、その考えは頭から払拭されてしまう。そして何とか最初の意見を皆に認めさせようと躍起になる。そうなると、もはや会議の目的である「会社としてどちらの方針を採用することが利益につながるのか」ではなく、だんだんとプレゼン、説明、説得の優劣を競うことが目的のようになっていく。このように、最初にとった行動や表明した意見を最後まで通そうとする心の働きを、「一貫性の原理」という。人間は、いったん議論を始めてしまうと、自説が自分と同化してしまい、自説の誤りを認めることは、まるで人間としての誤りを認めることのように感じてしまう。つまり、議論が正しい結論に達するためのプロセスではなく、自尊心を守るための戦いになってしまう。

・相手によっては論理以外の方法で。「論理」はそれが通用しない人(子どもや地頭など)に対しては無力。相手が「論理」の力を認めていないと効力を発揮しない。

・理性が支配する世界と感情が支配する世界: 論理的な思考は人生において不可欠な能力であるが、用いる場面を間違えるとかえってマイナスに作用することがある。例えば、妻が夫に対し「今日は結婚記念日なのに、なぜはやく帰ってきてくれなかったの?」と聞いたとして、夫がいかに今の仕事で残業が必要かを論理的に説明したところで、何の解決にもならない。