デジタル一眼レフカメラにおけるキャノンのマーケティング

キャノンは今や日本を代表する国際優良企業となっている。キャノン製品を使うことも多いが、つくづく「キャノンはうまいなー。」と思うことがある。消費者の立場から言い換えると「キャノンはずるいなー。」ということになるのであるが。
何がうまくてずるいのか?
以下、全くの個人的な見解。

数年前、デジタル一眼レフカメラはまだ20万円以上した。キャノン製品で初めて20万円をきったのがEOSの10Dだったと思う。ようやく20万円を切ったと思ったので、初めてデジタル一眼レフを購入した。

●EOS Kiss Digital

しかし購入してわずか1ヶ月くらいであろうか?EOS Kiss Digitalを発売すると発表した。価格は大幅に下がり、当時で10万円台前半だったと思う。しかも重量も軽くなっている。EOS 10Dが790gに対し、EOS Kiss Digital は560g。持ち運びに重いよなー、と思っていたので買ったばかりでくやしいが、買い換えることにした。(幸い、EOS 10Dは使用履歴が少なく、EOS Kiss Digitalの発売前に売りに出したので、比較的高値で売れた。)

●ブラックボディ

でもボディの色はシルバーのみ。EOS 10Dはブラックもあった。たいてい人気があるのはブラックだ。シルバーのみであっても、購入者はたくさんいるだろうと、キャノンは強気に出たのだと思う。はやく使いたいからシルバーでも買う。シルバーでもかなり売れていたようだ。案の定、半年ほどたって、ブラックが発売された。目新しいものが欲しい人、お金に余裕のある人はそこでブラックを新たに購入したと思う。はじめから2種類を発売するよりも、このほうが累計で販売台数は多くなるわけだ。購入者の好み・心理をおさえているよな、と思った。

●EOS Kiss Digital N

その後、EOS Kiss Digital N が発売された。重量はさらに軽く485g、有効画素数も630万画素から800万画素に。さらに注目すべきは、起動に0.2秒しかかからないこと。EOS Kiss Digitalはやたら遅い。感覚的には2秒近くかかり、このためシャッターチャンスを逃すことが多い。わずか1〜2年でどんどんいいものがでてくる。

●EOS Kiss Digital X

そして今年の秋、EOS Kiss Digital X が発売された。さらに機能アップしているが、個人的に注目しているのは「ゴミ付着防止機能」。レンズ交換時に小さなチリやホコリが入り込み、画像に写りこんでしまう場合がある。特に青空などを撮ったとき、黒いものがポツンと写り、写真が台無しになってしまう場合がある。付着原因の静電気を抑えるとともに、超音波振動でゴミをふるい落とす機能もついている。
「欲しい」。

一連の進化をみていると、徐々に改善されていく印象を与えるが、実はこれらの技術は前々から持っていたのではないかと疑ってしまう。技術を小出しにして、新機種に少しずつ機能を搭載することで売り上げを伸ばしているのではないかと・・・。はじめから万能の機種を出してしまうと、次がだせなくなってしまうから。
「新製品を次々に投入する」というのは、競争に勝ち抜くための様々な事情があるためで、どの業界でも必須なのだろう。

●次は・・・

次にでてくるだろうと予想しているのが「手ブレ防止」機能。各メーカーのコンパクトカメラにはかなりの割合で搭載されている。一眼レフでは、コニカミノルタのカメラ(現ソニー)に搭載されていたと思う。一眼レフ使用者でも、手ぶれ防止のニーズはかなり高いはずだ。キャノンは何をしているかというと、レンズにその機能を搭載している。
本体にその機能があれば、いちいち値段が高い手振れ防止レンズを買わないですむのに・・・。でもこれを発売してしまうと手振れ防止のレンズが売れなくなってしまうから、ださないのか・・・。あるいは特許の関係でださないのか、だせないのか・・・。

いずれにしても、本体に手振れ防止機能のついた安価なデジタル一眼レフをはやくだしてくれ、と思う。出たらそろそろ新しい機種として購入したいと思う。