心の声に耳を傾ける

毎日せわしなく過ごしていると、自分が今後どういう過ごし方をしたいのか、何をやりたいのか、何が大事でそうでないのか、今、本当に大切なものを大切にすることができているかなどなど、あまり考えずに毎日が過ぎ去ってしまう。
自分の内なる声というか、心の声というか、価値観をときどき確認することは大事だと思う。気がついたときには長い年月が過ぎ去ってしまっていたん、なんてことにならないように。

自分を見直すいい機会は、旅行など非日常に身をおくことだ。忙しい毎日を送っていると、ある意味頭を使わなくなってしまう。同じことの繰り返しばかりしている人の記憶能力が著しく衰える話を聞いたことがある。使わない能力は確実に衰える。(逆にいえば、そういう部分を切り捨てるからこそ、生き物は進化することができるとも思う。)

自分の内部に潜む本音に気づき、その潜在意識に思いをめぐらすことは心の平安にとって大切なことだと気づいた、と作家の夏樹静子氏が語っている。原因不明の体調不良に長い間悩まされ続け、腰痛などを長い間患っていた同氏が、心身症と判断されたその状態から回復することができたのは、1年間断筆して仕事を休み、潜在意識の声に耳を傾けたからであったという。

心と体は密接に結びついているというが、本当にその通りだと思う。本能だけで生きている動物は、心身症などとはほとんど無縁なのだろう。まじめで几帳面な人は、うつになる可能性がそうでない人よりは高いといわれる。大脳新皮質ばかり働かせるのではなくて、本能的な部分のウェイトを高めることで、心身症になるリスクを減らすことができるのではないかと思う。