医療費

子供を持つ親にとって、小児医療費助成制度はありがたい。
ただし、医療費の自己負担がないのをいいことに、たいした病気や怪我でもないのに、やれ病院だと駆け込む親が少なくないことも事実だと思う。

医療費の財源は限られているし、もとをたどれば自分たちで払ったお金である。真の意味では医療費は決して無料ではない。

また、そういう親たちがたくさん病院に来ると、病院が混雑する。本当に困っている患者に迷惑をかける。

一方で、制度を提供する側にも改善点はあると思う。
この制度の弱点は、「本当はいくらかかったか」を利用者が確認できないことにあると思う。

大人が病院にかかった場合は、診療明細を確認してどこにいくらかかっているかだいたい把握することができる。余計な点数を上乗せされて、病院が必要以上にもうけようとしていないかチェックすることもできる。(もっとも、去年秋くらいまではそれさえ困難な場合もあったが。)

一方で、小児医療の場合はそういった領収書が全く手渡されないので(病院によるのかもしれないが)、患者側は医療費をまったく把握できない。

どういうことかというと、「本当はこんなにお金がかかっていたんだ!小児医療助成のおかげでこれだけ助かったんだ。」ということを認識できないということ。
認識する機会があれば、必要以上に病院にいく親を減らせるかもしれないと思う。
(会社の、お客様相談窓口の電話をフリーダイヤルにすると、一気にかかってくる電話が増えるのと似ている。)



ところでこの考え方は、自分自身が実際に病院に行く機会があってこそ、気づくもの。
思うに、制度を作る人たちは、自分の子をつれて病院にいくことなどほとんどないのかもしれない。

会社での商品開発を通して思ったことだが、
「商品開発は、自分が顧客になりうる人こそが担当すべきもの」。
実際に台所に立たない人たちが、いくら想像力を働かせたところで、顧客ニーズをしっかり捉えた食品開発は不可能である。チャックつきの小麦粉やパスタがいまごろ発売されているが、そんなニーズはとうの昔からあり、はっきり言って遅すぎると思う。台所に立つ人がマーケターでなかったから今頃になってやっと気づいたのではないか。また、それを今頃コマーシャルで「便利でしょ!」といわんばかりに宣伝しているのも笑ってしまう。

公共サービス全般に言えることだが、サービス利用者の実態を、提供者側は知らなさ過ぎると思った。
あ、ちなみに今回子供を医者に連れて行ったのは自分でなく妻です。