セブンイレブン本部の力

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(写真出典)http://www.geocities.jp/life_stylist777/photo/

セブンイレブン(SEJ)がフランチャイズ契約を結んだ加盟店に対し、販売期限が迫った弁当やおにぎりなどを値引きする「見切り販売」を不当に制限したとして、公正取引委員会が排除措置命令をだした件。

この措置のあと、加盟店のオーナーに対してアンケートが取られ、「今後見切り販売をするようになるか?」との問いに「しばらくそのようなことはない」との答えが確か7割くらいあったのには驚いた。理由は「客単価の下落につながるから」(日テレの「スッキリ!!」にて)

この傾向に少し違和感を覚えた。

そもそも、値引きできずに売れ残った食品の廃棄ロス分は100%加盟店の負担だった。値引きしてでも売り切りたいオーナーは多いはず。(実際、一部には今までに「見切り販売ができていれば得られたはずの利益」の返還を要求して提訴するぞというオーナーたちの動きも見られる。)

●ではなぜすぐに踏み切らないのか?
SEJ本部が15%の負担をすると言い出したところで、たいしてオーナーの負担減にはならない。
勝手な推測だが、「見切り販売」をすぐにやらないのは、SEJ本部のオーナーに対するある意味「教育」が十分行き届いていることの表れではないだろか?本部は力が相当強いのだと思う。

番組で、行列の本村弁護士がコメントしていたが、「オーナーはSEJ本部に洗脳されている」というのも、ある意味そうかもしれない。本部は、「見切り販売したら、今まで維持してきた価格が崩れ、客単価が下がる。そうなれば店の売上全体も下がることになる。店のためにも、見切り販売はするべきでない。」などと言われ続けてきたのだろう。


●果たしてコンビニにそれが当てはまるだろうか?
食品スーパーなどでは、夕方には日常的に値引きが行われ、それを求めてやってくる客がは実際にいる。その値引きが、昼間(夕方以外)の購買行動にどれだけ影響しているかは不明だと思う。しかも主婦層が相対的に多いのでコンビニの客層よりも低価格により反応する客であるのは明らか。そんなスーパーでさえ、夕方の値引きはそんなに問題視されていないのでは?

この不況で、コンビニの客も「より安く」を求めるようになってきているとは思うが、コンビニで買い物をする一番の理由は流行性や利便性かと思う。「安い」を第一に考える客ならはじめからスーパーに行っている。

なので、コンビニが値引きを始めたからといって、特定の時間に「値引き品」だけを狙いに行く客は、いると思うがスーパーほどいないと思う。たまたま店に入った時に、値引きされている商品があればそちらを買う、という程度だろう。

●今後はどうなるか?
世の中的には「より安く」のほか、エコへの関心が高まっている。顧客にとって、「安く」買えて「捨てられるはずのものが有効に利用される」のなら、値引き販売はみんな賛成だと思う。値引きできなくて廃棄している実態を知ったら、客は「安く売ってくれ」と言い出すだろう。
IYグループは、コンビニ業態だけは価格競争に巻き込まれたくない、と思っているのかもしれないが、時代の流れには逆らえないのでは?

本部による、見切り販売の制限は不当だと思うが、廃棄ロス分が100%加盟店の負担である(あった)ことに問題はないと思う。天気などの判断材料から販売個数の予測を必死に立て、仕入れた分をきっちり販売する努力は店に必要だと思うから。

廃棄ロス減価の15%負担は90億円ほどというのでSEJにとってはかなりの負担と思うが、結局価格が崩れることになったら痛い判断ということになってしまうか・・・。